気づいたら1ヶ月半ぶりくらいの更新になってしまいました。本職の方がなかなか忙しく、先月はみなし残業時間を超えるくらい働いてしまいました。超えたといってもほんのちょっとだけど。
大きめの仕事が今月も降りかかってくるのでちょっと現実逃避したいなということで、好きな話題、言語学の話をしようと思います。
言語学、意外と好きな学問
大学で言語学を専攻していたわけではないのですが、意外と好きな学問です。第二外国語のフランス語とは別に、自由選択でラテン語の授業も取っていました(ちゃんと単位も取った)。
今回は格変化をテーマに、思うことをつらつら書いていきます。
外国人の日本語になぜ違和感を感じるのか
最近の都会の企業には外国籍の社員の方がそれなりにいらっしゃいます。日本語をぺらぺらに話せる方も多いのですが、外国の方が話す日本語にはなんとなく違和感がありますよね。日本語として理解はできるんだけど、なんだか感じるあの違和感。
違和感の原因のひとつは発音の差異ですが、これは音声学の話になるので割愛。もうひとつの原因として考えているのが、助詞の使い方です。
日本語は語順がゆるい言語
日本語は世界の言語の中でも、語順に対してかなり制約が少ない言語です。例えばこの文。
①私は朝にリンゴを食べた。
②朝にリンゴを私は食べた。
③リンゴを私は朝に食べた。
①〜③はすべて同じ意味です。厳密には後に置く要素を強調する解釈があり(①は「リンゴを」、②は「私が」、③は「朝に」を強調)、ほとんどの場合は意識されませんが、意味は通じます。
一方、英語では基本的にこの語順で発話されます。
I ate an apple in the morning.
倒置形による強調表現はありますが、日本語ほど自由に語順を変えることはしません。
なぜ日本語は語順が自由なのか? ←ここが格変化の話
英語も日本語も格変化がほとんどない言語ですが、英語が語順で格を示すのに対し、日本語は助詞で格を示すことができます。「私は」「リンゴを」「朝に」のように、助詞がついていれば語順を変えても意味が伝わるわけです。
ここで格変化の話が出てきます。格変化とは、名詞の語尾が変化することで「その名詞が主語なのか目的語なのか」などを示す仕組みのこと。詳しくはWikipediaでどうぞ。
ラテン語の格変化(6種類)
わたしが学んでいたラテン語には格変化があり、語順はかなり自由です。日本語と同じくらいには自由。参考サイトはこちら。
- 主格(「〜が」)
- 属格(「〜の」、連体詞に近い)
- 与格(「〜に」)
- 対格(「〜を」)
- 奪格(「〜から」「〜より」)
- 呼格(呼びかけ)
名詞の語尾が変化することで日本語の助詞と同じ役割を果たすので、語順を入れ替えても意味が伝わる、ということですね。(書いてたらめちゃくちゃ懐かしくなってきた、またラテン語やろうかな。)
日本語の助詞が外国人に難しい理由
現存する主要な言語のほとんどには格変化がなく、語順で格を表すのが主流です。そんな中で、助詞を使って格を表す日本語はかなり異質な存在。外から日本語を学ぶ人にとって助詞の習得が難しいのは、この構造的な違いによるものが大きいのだと思います。
体系的に学べば学ぶほど「なんで日本語ってこうなってるんだっけ」と感じることが増えます。「アンパンマン」の3種類の「ん」の発音の話とか、「1本・2本・3本」をなぜ日本人は読み分けられるのかとか。
言語学というより、日本語をメタ視点から見るのが好きなだけかもしれませんがね。自分を客観視するのと同様、自分の使っている言語を客観視してみるのもたまには面白いよ、というお話でした。